インターネットFAXの課題と解決策:デメリットを知って最適な選択を
紙を出力せずともFAXのやりとりが行えるのが、インターネットFAXです。従来のFAXよりもコスト面や業務効率面にメリットがあり、サービス提供を行う企業も多く存在します。
導入前はメリットに目を向けがちですが、ここで心がけておくべきことはデメリットまで把握したうえで導入を検討することです。今回は、インターネットFAXが抱える課題と解決策について解説します。導入前に、ぜひご覧ください。
インターネットFAXとは
Web上でFAXのやりとりができるサービスのことです。インターネット環境下にいることを前提にしたサービスであるため、PCやスマートフォンなどの電子機器を使ってFAXを使用できます。
インターネットFAXを通じてFAXを送る場合は、まずPCやスマホの画面から送りたいデータをWeb上から送ります。その後、FAX送付先では送られたデータが従来どおりFAX機から紙で出てくるといった流れです。
一方、FAXを受け取る場合は、FAX機から紙で送った原稿をデータ化してPCやスマホで受信するといった流れになります。データは主にPDFで取り扱うことになるため、Web環境を選ばずに使用できます。
メリット
インターネットFAXには、従来のFAXでは実現できなかったメリットが多くあります。今回は、代表的なメリットを3つご紹介します。この3つのメリットを念頭において、導入を検討しましょう。
コスト削減につながる
インターネットFAXの最大の特徴は、FAX機を持たなくてもFAXのやりとりができることです。そのため、コスト削減に大きな期待が持てます。
具体的には、FAX機そのもの、紙、インクなどのコストがカットできます。受発注業務でFAXを使用している企業であれば、3年〜5年ほどFAXの保管期間を設けている場合もあるでしょう。この場合は、FAXを保管している場所に関するコストも不要となります。
もちろん、導入前に従来のFAX使用時とのコストを比べる必要があります。なぜなら、サービスの仕様によっては、従来のFAX使用時の方がコストを抑えられる場合があるためです。両者で発生するコストをしっかり計算したうえで、導入を検討しましょう。
保管スペースをとらずに管理しやすくなる
従来のFAXは紙でのやりとりだったため、送受信したFAXも紙での保管となり、場合によっては保管するためのスペースの確保が必要でした。過去にやりとりしたFAXを探す際も紙でのやりとりであるため、探す場合も手間がかかっていました。
インターネットFAXの場合は、Web上で管理できるため、保管するためのスペースを確保する必要がありません。過去のFAXを探す場合も、取引先名や日時などで検索をかけられるため、スムーズに探せます。また、共通管理も部署内で可能なため、不在にしている社員がいた場合でも、該当するFAXをすぐに探せます。
ペーパーレス化への取り組みの一環となる
前述したとおり、インターネットFAXはWeb上で完結するサービスであるため、紙へ出力する頻度を下げられます。よって、ペーパーレス化への取り組みの一環となります。
環境問題は自分にできることから取り組んでいくことが大切です。メインのメリットというわけではありませんが、インターネットFAXには環境問題への配慮という側面があることも念頭においておくとよいでしょう。
課題と解決策
インターネットFAXは業務効率やコスト面などに関して魅力的ですが、課題点もやはり存在します。以下で、インターネットFAXに関する課題点と、その課題にまつわる解決策まで紹介します。現在のFAXの使用状況と照らし合わせながらご覧ください。
受信料が発生する場合がある
従来のFAXの場合、FAXの受信に料金は発生していませんでした。しかし、インターネットFAXには、一部FAXの受信に料金が発生する場合があります。とくに、FAXを頻繁に受信する企業では、従来のようにFAXを使用していた方がコストを抑えられる場合があるため、要注意です。
この場合、解決策は2つあります。1つ目は、受信料が発生する場合に見込まれる金額を計算することです。2つ目は、受信時に料金が発生しないサービスを選ぶことです。
まず1つ目に関しては、1枚あたり3〜10円を目安に見込み額を計算しましょう。この際、従来のFAX使用時よりも料金が上回らないかが重要なポイントとなります。2つ目に関しては、料金が発生しないサービスと料金が発生するサービスの各内容を確認したうえで、納得いくサービスを選択しましょう。
FAXを受信したことに気づきにくい
インターネットFAXは従来のFAXのように紙で出力されるわけではないため、受信した際に気づきにくい場合があります。もし、急ぎや緊急の場合の連絡がWeb上で届く場合を考えるとすぐに対応できるというわけではないため、すぐに対策を練る必要があります。
この場合の解決策としては、通知機能を提供しているサービスを使用することです。導入前に、通知機能があるかどうか、あるいは通知機能が必要かどうかを検討しましょう。
頻繁にFAXを受信する企業であれば、通知機能が逆効果になる場合もあります。その場合、通知のボリュームまで調整できるかどうかを確認できるとよいでしょう。
既存のFAX番号を使えなくなる場合がある
サービス内容によっては、既存のFAX番号が使えなくなる場合があります。FAX番号が変わってしまうと、取引先へ新しい番号の通知業務を行わなければならず、大きな手間がかかります。
この場合の解決策としては、既存の電話番号を引き継げるサービスを選択しましょう。番号を引き継げるサービスとしては、NTTが提供している転送サービスやナンバーポータビリティーなどが該当します。既存の番号を引き継げるかどうか、サービス内容を把握する際に確認しておきましょう。
追記や返信を行う際に少し手間がかかる
従来のFAXであれば、返信をする際は届いたFAXに直接記入し、送り返すことで追記や返信の作業が済んでいました。しかし、インターネットFAXの場合は、届いたFAXを紙に出力し、追記したものをスキャンした後に再度Web上から送り返すという流れで進めるのが一般的であり、少し手間がかかります。
この手間を省きたい場合は、Web上から直接書き込める仕様のサービスを提供している会社と契約する、あるいはPDFに直接書き込める「Adobe Acrobat Reader」を導入しましょう。この場合、書き込む方法までしっかり確認し、操作性までを含めて検討しましょう。
安全性
インターネットFAXはインターネットを経由するため、セキュリティ面に関して不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。今回は、インターネットFAXの安全性について2点解説します。安全性までしっかり把握したうえで、導入するかどうかを判断しましょう。
データは送信相手のみ閲覧できる
従来のFAXは送信相手以外の人でも容易に閲覧できる状態でしたが、インターネットFAXは送信相手のみ閲覧ができるようになっています。そのため、従来よりも情報漏えいのリスクを軽減できます。機密性のある文書でも、送りやすくなるでしょう。
管理画面は常にSSL化されている
インターネットFAXの管理画面は、データを暗号化するSSLという仕組みが常に働いています。そのため、送受信を行う際は、外部からの不正アクセスを防げます。ただし、管理画面にログインする際のIDとパスワードが外部に漏れてしまうとデータが悪用される可能性が高まるため、IDとパスワードの取り扱いには十分注意しましょう。
まとめ
今回は、インターネットFAXの課題や解決策などについて解説しました。コスト削減や業務効率化へ効果をもたらすインターネットFAXですが、受診料の発生や既存のFAX番号が使えない可能性がある点に関しては、今後の課題点となります。
とくに、以前からFAXを頻繁に使用している企業では、従来のFAXの方がコストを抑えられる可能性があるため、導入には慎重に判断していく必要があります。
今回紹介した課題点に関しては解決策がありますが、最終的にはFAXの現使用状況との比較が重要です。多角的視点を持って、本当にインターネットFAXを導入すべきかどうかを判断していきましょう。