業務のデジタル化が叫ばれるなか、紙媒体の業務の廃止が急務となっています。とくに、紙を使った業務の代表といえる紙FAXの廃止は重要です。しかし、さまざまな理由から紙のFAXを廃止しない、またはできない企業も多いです。そこで今回は、FAXの廃止が進まない理由や、インターネットFAXを導入して従来のFAXを廃止するメリットを解説します。

企業のFAX廃止が進まない理由とは

日本では、依然として多くの企業がFAXを利用しており、その割合は全体の約4割にものぼります。企業がFAXの廃止に踏み切れない理由には、いくつかの要因があります。

取引先がFAXを頻繁に利用している

まず、取引先がFAXを頻繁に利用している場合が多いことです。とくに不動産業界や建築業界、医療業界など、現場でのリアルタイムな情報伝達や書面での証拠が求められる業界です。

そのような業界ではFAXが主要な通信手段であるため、FAXの廃止が困難です。たとえ自社でFAXの利用が少なくても、取引先とのやり取りにおいてはFAXを利用せざるを得ない場合があるのです。

業務プロセスの大幅な見直しが必要

また、FAXを廃止して代替ツールを導入するためには、業務プロセスの大幅な見直しが必要となります。FAXを使った業務を洗い出し、その後のデータ管理や承認フローの方法を再設計する必要があり、これには多くの時間と労力がかかります。

とくにFAXを多く利用している企業ほど、業務の見直しには大きな負担がともない、廃止に踏み切れない理由となっています。

ITツールを使いこなせない人材がいる

さらに、FAXは操作が簡単なため、特別なITスキルがなくても誰でも使用できる点が大きな利点です。しかし、最新のITツールは多機能で、使いこなすには一定の知識や慣れが求められます。

とくに年配の社員やIT機器に不慣れな人びとにとって、FAXを廃止して新しいツールに移行することは抵抗を感じることが多いでしょう。このようなITツールへの苦手意識や「FAXで十分」という意識が企業内で根強く残っていると、FAX廃止への移行は難しくなります。

FAXを廃止するメリット

FAXを完全に廃止するのは難しいものの、そのアナログな方法から脱却したい企業にはインターネットFAXが最適な解決策です。従来のFAXは電話回線を使用して送受信するのに対し、インターネットFAXはインターネット回線を利用し、FAXをPDF形式で送受信できます。

クラウド上で文書の確認や受信通知が可能になるなど、FAXのクラウド化は年々進展しています。インターネットFAXを導入することで、FAXの廃止にともなうさまざまなメリットが得られるのです。

業務効率の向上

まず、業務効率の向上です。FAXの電子化により、手動で行っていた送信や書類の管理を自動化でき、従業員は効率的に業務を進められます。さらに、デジタル化した書類はPCで簡単に検索・共有ができるので、時間の節約になります。

コスト削減

次に、コスト削減の効果があります。従来のFAXでは複合機や電話回線、消耗品などの維持費がかかりますが、クラウドFAXに切り替えることでこれらのコストを削減できます。ペーパーレス化により、物理的な管理が不要になり、経費削減にもつながるでしょう。

働き方の多様化

また、クラウドFAXは多様な働き方を実現します。FAX業務が原因でテレワークが難しい企業でも、クラウドサービスを利用すれば場所を問わず業務が可能となります。これにより、テレワークの促進につながるでしょう。

セキュリティ面の強化

さらに、セキュリティ面の強化も期待できます。FAXでは送信先の誤りや、送られた文書の情報漏洩リスクがあります。しかし、インターネットFAXを導入することで、暗号化された通信手段を利用して機密情報の保護を強化できます。

インターネットFAXを導入する際の注意点

インターネットFAXの導入にはさまざまなメリットがありますが、導入時にはいくつかの注意点があります。

料金体系

まず、料金体系が自社の状況に合っているかを確認することが重要です。インターネットFAXの料金プランは、初期設定費用、月額費用、送信料、受信料などが含まれますが、サービスごとに料金体系が異なります。

とくに送受信枚数に応じて料金が変動する場合もあり、頻繁にFAXを送受信する企業では、従来のFAXよりもコストが高くなる可能性もあります。そのため、利用頻度に応じたサービスを選ぶことが必要です。

FAX番号の変更について

次に、FAX番号の変更が必要かどうかも確認しておくべきポイントです。インターネットFAXでは、従来の電話回線を使用せずインターネットを通じてFAXを送受信するため、通常は新しいFAX番号が必要となります。

これにより、取引先に新しい番号を周知する必要があり、連絡先が多い場合には手間がかかります。業務に大きな影響が出る場合、既存の番号を引き継げるサービスを選ぶことを検討するのがよいでしょう。

スモールスタートが可能か

さらに、インターネットFAXを導入する際には、スモールスタートが可能かどうかも考慮するべきです。いきなり全社での導入を決定するのではなく、無料トライアル期間を利用して実際に使ってみることが重要です。

また、一部の部署や拠点から導入を始めて少人数で試用することによって、社内外での課題や取引先とのやり取りに問題がないかを確認できます。これにより、全社導入に向けた準備が整いやすくなります。

まとめ

企業のFAX廃止が進まない理由は、取引先の利用状況や業務プロセスの見直しが必要、ITツールへの抵抗感などが挙げられます。しかし、インターネットFAXを導入すれば、業務効率やコスト削減、働き方の多様化、セキュリティ強化といったメリットが得られます。FAX廃止を進めたい企業にとって、インターネットFAXはペーパーレス化の解決策となり、作業のデジタル化やテレワーク推進を可能にするでしょう。導入時は料金体系やFAX番号の変更、スモールスタートができるかを確認し、スムーズな移行を図りましょう。